ユネスコ無形文化遺産登録への道

ユネスコ無形文化遺産とは

 平成15年10月、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の総会にて「無形文化遺産の保護に関する条約(無形文化遺産保護条約)」が採択され、平成18年4月に発効しました。条約では、ユネスコ無形文化遺産を次のように定義しています。

「無形文化遺産」とは、慣習、描写、表現、知識及び技術、並びにそれらに関連する器具、物品、加工品及び文化的空間であって、社会、集団及び場合によっては個人が自己の文化遺産の一部として認めるものをいう。この無形文化遺産は、世代から世代へと伝承され、社会及び集団が自己の環境、自然との相互作用及び歴史に対応して絶えず再現し、かつ、当該社会及び集団に同一性及び継続性の認識を与えることにより、文化の多様性及び人類の創造性に対する尊重を助長するものである。

[分野]

  • (a)口承による伝統及び表現(無形文化遺産の伝達手段としての言語を含む。)
  • (b)芸能
  • (c)社会的慣習、儀式及び祭礼行事
  • (d)自然及び万物に関する知識及び慣習
  • (e)伝統工芸技術(無形文化遺産保護条約 第2条)

世界文化遺産・自然遺産との違い

 ユネスコが扱う世界遺産には、姫路城や白川郷などの「世界文化遺産」、屋久島や小笠原諸島などの「世界自然遺産」があります。これらは「有形」の世界遺産で、無形文化遺産とは扱う対象が異なります。
 また、世界文化遺産・自然遺産の根拠となる条約は、昭和47年に採択され、昭和50年に発効した「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約(世界遺産条約)」です。ユネスコ無形文化遺産と世界文化遺産・自然遺産とは、根拠条約、価値に対する考え方、登録のための手続等において全く異なる制度です。

日本のユネスコ無形文化遺産

 日本では、現在21件のユネスコ無形文化遺産が登録されています。近年の登録には、同じ分野の文化財を「グルーピング化」し、ユネスコに申請する傾向が見られます。

登録年 登録案件
平成20年 能楽、人形浄瑠璃文楽、歌舞伎
平成21年 雅楽、小千谷縮・越後上布、甑島のトシドン、奥能登のあえのこと、早池峰神楽、秋保の田植踊、チャッキラコ、大日堂舞楽、題目立、アイヌ古式舞踊
平成22年 組踊、結城紬
平成23年 壬生の花田植、佐陀神能
平成24年 那智(なち)の田楽
平成25年 和食;日本人の伝統的な食文化
平成26年 和紙:日本の手漉和紙技術(石州半紙、本美濃紙、細川紙)
平成28年 山・鉾・屋台行事(高山祭の屋台行事など 計33件)
(申請中) 来訪神:仮面・仮装の神々(男鹿のナマハゲなど 計7件)

登録の条件

ユネスコ無形文化遺産に登録されるには、以下の条件を全て満たしていなければなりません。

条件1. 申請案件が条約第2条に定義された「無形文化遺産」を構成すること。
条件2. 申請案件の記載が、無形文化遺産の認知、重要性に対する認識を確保し、対話を誘発し、よって世界的に文化の多様性を反映し且つ人類の創造性を証明することに貢献するものであること。
条件3. 申請案件を保護し促進することができる保護措置が図られていること。
条件4. 申請案件が、関係する社会、集団及び場合により個人の可能な限り幅広い参加及び彼らの自由な、事前の説明を受けた上での同意を伴って提案されたものであること。
条件5. 条約第11条及び第12条に則り、申請案件が提案締約国の領域内にある無形文化遺産の目録に含まれていること。

条件5にある「提案締約国の領域内にある無形文化遺産の目録に含まれていること」とは、日本の場合、国の重要無形文化財、重要無形民俗文化財、選定保存技術のいずれかに指定されていることにあたります。「長良川の鵜飼漁の技術」が国の重要無形民俗文化財に指定されているため、現時点において条件5を満たしていると言えます。